不動産を用いた相続税対策の分類 | タワーマンション、アパートローン、不動産小口化商品

2017年7月1日作成



近年の相続税の課税強化に伴い、相続税対策が注目されています。本稿では不動産を用いた相続対策用取引又は商品を、税効果の設計の観点より、整理します。



相続税対策不動産商品は、主に、以下の組み合わせにより、税効果を得られるように設計されています。

  1. 不動産時価と相続税評価額の差異
  2. 小規模宅地等の特例
  3. 借地権等減額
  4. 負債額の控除


1.不動産市場価格と相続税評価額の差異

土地の相続税評価額は公示価格の80%程度に設定されています。仮に、公示価格を市場価格と仮定すると、現預金で土地を取得すると、相続税評価額は20%軽減されることになります。


同様に、建物の相続税評価額は、建築コストの70%程度で、経年により減価します。仮に、現預金で建物を新たに建築すると、相続税評価額は30%軽減されることになります。



2.小規模宅地等特例

一定の親族が相続したときに、被相続人が住んでいた宅地や事業を行っていた宅地を、一定の限度面積の範囲で、50%又は80%の評価減する制度です。他の不動産等の状況に依存するため、他の税効果方法と異なり、新たな不動産取得により必ず得られる効果ではありません。そのため、本稿では考慮しないこととしました。



3.借地権等減額

建物は、賃貸することにより、貸家の評価になります。

『 貸家の評価 = 家屋の評価額 × (1 - 借家権割合) 』

※借家権割合は、2016年時点では、全国一律30%とされています。


家屋を賃貸した場合、その敷地である土地の評価も下がります。

『 貸家建付地の評価 = 土地の評価額 × (1 - 借地権割合 ×借家権割合) 』

※借地権割合は、地域ごとに定められた、借地権を有していた場合の財産割合(東京23区の場合、60~90%)をいいます。

(*) 借地割合を60%と仮定。



4.負債額の控除

借金等の債務は、相続税評価額から控除されます。



5.各主要相続税対策不動産商品の税効果設計

① タワーマンション

タワーマンションは、(a)建築コストと無関係の価格設定(高層階は景観等を理由に低層階より高額に設定されています。)、(b)1戸当たりの土地持分が小さい(前述のとおり、土地より建物の方が、高い税効果が期待されます。)、及び/又は(c)賃貸借による評価額減が得られる(賃貸する場合)等により、税効果を狙っています。

(*1) 販売価格100に対する相続税評価額を50と仮定。

(*2) 土地持分は計算上無視できる程度に小さいと仮定。



② アパートローン

アパートローンは、所有する土地に、借入資金で建物を建築し、賃貸借します。この場合、(a)建物建築コストと相続税評価額の差異、(b)賃貸借による土地及び建物の評価減、及び(c)借入資金の相続税評価額からの控除等による、税効果が期待されます。

(*) 時価100の土地に、建築コスト100の建物を全額借入で建築したと仮定。



③ 不動産小口化商品

収益不動産を裏付とする不動産小口化商品は、(a)建物部分について建築コスト(つまり、相続税評価額)と異なる市場価値形成(収益性を基に収益還元法等により市場価格が形成)、及び(b)賃貸借による土地及び建物の評価減等による税効果が期待されます。なお、小口化商品投資家が裏付不動産を直接保有すると税務上評価されるように、任意組合を用いた仕組に限定されています。また、その任意組合が組合員に無限責任を負わせる仕組であることが理由なのか不明ですが、借入を組み合わせた商品は確認されていません。


運営会社 仕組 不動産 規模
青山財産ネットワーク 不動産特定共同事業法商品 店舗・事務所 6~21億円
FPG 不動産特定共同事業法商品 店舗・事務所
・共同住宅
14~29億円
トラストホールディングス 不動産特定共同事業法商品 駐車場 1~5億円
インテリックス 不動産特定共同事業法商品 共同住宅
(シェアハウス)
16億円
ファンドクリエーション 金融商品取引法(特例業務)
による集団投資スキーム(任意組合)
共同住宅 7~14億円